新装版 活路(上) (講談社文庫)

新装版 活路(上) (講談社文庫)



新装版 余燼(上) (講談社文庫)

新装版 余燼(上) (講談社文庫)


オブジイヤーです。
今年も相変わらず新刊はほとんど読まず。読書自体も減っていって、将来に怯えながらアニメとメタルで自分を慰めるそんな日々なんだけどちょっとは時間もあってその中で読んで気に入ったのは北方謙三である。このタイトルからもある程度想像はつくと思うのですが時代小説です。順調にオッサン化しててすんません。学生のころにいくつか現代モノを読んでいたんだけどそのころはあまりにプロットが地味でそのままスルーしてたの。でも今は北方先生LOVEである。ハードボイルドラノベに足りないものが全部入ってたなあ。足りないというよりハードボイルドラノベのダメな部分が修正されてそこが作品の魅力になるくらいにちゃんとしたガチな読み物になっているというべきか。やってることを還元すればアレとかソレと似たようなもんだよなあと読みながら思ったりもしたんだけどやはり北方先生は格が違った。エンタメとして極まってましたわ。ただ問題なのは作中で描かれる男たちのロマンティシズム、ナルシシズムの完成度がすごすぎて、ユースカルチャアとしてのオタク的な問題意識でハードボイルドをやってる作品がすげえ幼稚に見えてきて、これはちょっとまずいなあと。その辺はもうちょい数こなして読み込んで考えようかなと思っております。いくつか読んだ北方ハードボイルドも現代モノはイマイチで、その作家性がより強く発揮されるのが時代小説であることと、ダークナイト化するオタクのナルシシズムの発露とそれのうまくいかない感覚は僕にとっては似たような世界観として共有されているので。北方先生の場合、むせ返るようなダンディズムとヒロイックなロマンティシズムがうまく共存していて、そこにハマれるとマジ最強w そのへんのションベン臭い韜晦まみれの悪役気取りの小僧どもが主人公のラノベとか読んでられない(意訳)。上で挙げたのは二作品とも超人的な剣術を使う男が主人公だったりするのだが、おいおい北方アートオンラインかよと突っ込む暇も与えずにガチンコの美学に彩られたザ・北方ワールドに引きずり込まれてしまったね。何を言ってるのかわからねーと思うが以下ry。 彷徨える魂に居場所を与えようとするハードボイルドはミステリ一般文芸もラノベもだらしないエクスキューズかますしょっぱいのがほとんどだったけど時代小説、剣豪小説でこういうやり方があるのだなと。北方謙三はまだまだ読んでない作品がいっぱいあるので楽しみである。たぶんおもしろいとかつまらないとかを超えたところで楽しめるはず。