結局はオイラって物語を欲しがってるだけかもしれないんだな。あと景色。ていうかセカイの物語化なんて余裕だよな、ぶっちゃけ。アニメとか小説とか漫画とかなんてもう現実そのものですよ。みんなが寝静まった夜窓から外を見てるととてもすごい炎がもうガンガンにみえるわけですよ。絶対にウソじゃないですから、これ。

とかいいながら冲方丁です。3巻全部読んだよ。リアル・フィクションなんてくそくらえですよ。確かにおもしろいよ、サイバーパンクっていうかポストサイバーパンクっていうかさ、カッコイイ小説であることは認めざるを得ないわけだが、どうもね。きっとこの小説はスケベ心がありすぎるんですよ。要約するとSFハードボイルド足長おじさんです。この小説。心に傷を持った少女があらゆる面で高スペックなオッサンに支えられて成長します的な。おまけに惚れられちゃいます、みたいな。もう最悪ですよ。シンデレラバロットですよ。トラウマから救い出してくれる聖母ファック、王子様もファック。ぶっちゃけトラウマなんてもう空気みたいなもんじゃん、デフォだろ。スーパーフラットですよ。トラウマに特権性があるとしてもそこから救われることに特権性を見出しちゃダメなんですよ。何が言いたいかというと、物語における、あるいは文学における欲望。たとえば我らが第三世代のカリスマ、碇シンジのようにグダりきって誰でもいいから助けてくれそうな奴に縋って、みたいなトラウマメンヘルはいいんですよ。物語の重力ってやつです。それに逆らってるから。けどマルドゥックの場合はもうバロットが物語のための傷持ち、文学性のための傷持ちに見えちゃうの、足長おじさんが善意で助けてくれるんだけどその善意は偽善ではないから余計イヤ。物語であるために不幸を押し付けるのはもう終わりにしたい。SF大賞獲ってます。6点
神は銃弾 (文春文庫)

神は銃弾 (文春文庫)

これも読みました。ヤバイです、これ。煽り文のとおり怒り狂ってます。ある意味これもトラウマみたいなもんを扱ってるんですが、こっちが圧倒的に正しいのかもしれません。なぜこんなことになってしまったのかという理不尽さに対して登場人物の8割が怒りまくってる小説。ニヒリスト気取りのオイラも思わず熱気に中てられて何かイケナイことをしそうになりましたが何もしません。憎悪に満ちまくりなのに清々しいのはガイキチだらけの登場人物たちは救いを求めはするけど、誰も誰かを救おうとしないことです。そんな傲慢な行為をだれもしないことです。たぶん。あと主人公とヒロインが萌えます。萌え描写なんて皆無なのに。お互いの傷口を抉りあうように二人はグダるわけですが、退廃的なのにそこはかとなく優しい、でも残酷。まるでエヴァ劇場版のシンジとアスカですよ。オタク的に読むなら。(二人の年齢についてはスルーの方向で)ちりばめられたアフォリズムやらムダに詩的なフレーズがひたすらカッコイイです。ラノベというかオタク的に言うと佐藤友哉と中村九朗を足して二で割る感覚で読めます。多分桜庭一樹も。砂糖菓子の弾丸は神は銃弾つながり。セカイと戦うための弾丸として少年少女に読んで欲しいです。海外の文学賞はよく分かりません。 9点