コバルト

デビュー作のはっちゃけっぷりは体験してません。一部で騒がれたときはスルーして昨日行った本屋にこれしか置いてなかった。確かに感想が書きにくいといえば書きにくいんだけどあえて言う。「オイラはべつに読書という行為の中で驚きたいわけじゃない」と。言うたらトリックの連鎖ですがな、カバーの折り返しのあらすじからもう仕掛けは動き始めてるわけですよ。うまいこと小説っていう装置の矛盾を利用しました。というか文章の不便さか。例えば{彼女は空を見上げていた}っていう文章の「彼女」は空を見上げているっていうイメージにがんじがらめになるわけですよ、極端に言うとそれだけの話。個人的にはあんまりオブセッションはなかったです。つうかいい年したヤローがコバルトにそんなもん求めるなって話。作者自身のスペックは高いと思います。登場人物がみんな観念的な語りなのもトリックの構成要素として機能してる。最近なんか面白い本あったかと問われてあると答えられる小説ではあるけどあんまり褒めたくない。べつにそれほど大したことは作中で起こってないのに閉塞感があるっていうか居心地悪い。清水マリコの方が好き。比べる意味はないけどなんとなく。