容疑者Xの献身

容疑者Xの献身

年間ベストの頃に都合よく問題を勃発させた小説。揉めてる件には興味ないけど。ハードカバーの新刊ってあんま読まないけどこれはたまたま読んでたよ。傑作らしいんで。んで評判どおり本格でもこのミスでもたぶん文春でも1位なんじゃねえのかという流れ。けどそんな大傑作じゃねえよな、正直。ミステリ読みとしてズブズブのトーシローのオイラが言うのもなんだけど。なんか軽い、伊坂よりちょっと重いくらい。んで主人公の天才キモメンが本当はどんな人間で他のやつらは何を考えていたのかってことなんだけど、「んなもん文章で書かれてること以外は考えてないし起こってねえよ」。行間以外の深読みファック。村上春樹病に罹っておいてください。作者がわざとはったりとしてぼかした描写してるんならファック。ボカシを必死こいて読む読者もファック。


とか言いながら川上稔について考える。川上って正しくオトコノコなんだなあと終わクロを振り返ると思うわ。佐山ってさ、なんつーの、セカイじゃない世界を夢見るオトコノコって感じっしょ。世界の全てに触れさせたいっていう作者の欲望。ライトノベルのフォーマット上でそれをどれだけ魅力的にするかっていうのがキモだったはず。言うたらアンチセカイ系。それぞれの世界にそれぞれの問題がある。それはこうでああで過去にだって未来にだって世界はあるっていうさ。さらに両親も祖父母も自分と関係してるんだという。んで世界中が協力し合うことだってできる、みたいなことが言いたいのだろうし、全竜交渉は佐山達と「世界」の対話だったはずだしさ。終わクロは世界を祝福する小説として書かれたはず。こういうスタンスは物凄い勢いで肯定したいです。ハイ。今年のクリスマスは『清しこの夜』が聴きたくなるね。一人で。何も問題は無いよ。一人でも。


大団円だったけどぶっちゃけ不満がないわけじゃないけどな。


都市シリーズも読むべきだと古本屋に行ったら発見できたのですが、本の腹が手垢か汗か知らんけど黄ばんでる、なんか茶色いカスも付着してる。これはあまりにもあんまりだ。ここは見送るべきだろうか。