ライトノベルクラシック

魔王伝〈1〉双鬼編―魔界都市ブルース (ノン・ポシェット)

魔王伝〈1〉双鬼編―魔界都市ブルース (ノン・ポシェット)

歴史主義者なので現代ファンタジーの礎を築いた菊地も読まねばなるまいと思い立ち、100円コーナーで魔界都市シリーズ買ってきたよ。紙が腐りかけているのか変な匂いがしました。まあ出版順に読むのが妥当だろうということでブルースの1巻と魔王伝を読んでみたんだが、とりあえず〈新宿〉という街は性欲を持て余し過ぎだと思います。ほとばしるB級感はたしかにライトノベルでした。むしろライトノベルよりライトノベルしてた。ブルースは性欲を持て余している人情モノの短編集だったが魔王伝はガチ。さすがに20年も経つと全然違うよね、意識っていうかベクトルが。萌えというか美少女イズムが皆無。そのへんがちょっとショッキング。やっぱり俺は萌えオタということなんだろうか。主人公は超絶美形だからフラグは立て放題なんだけど回収以前に作者にその意思がない。カップリングの発想がないので女性キャラと主人公を絡ませても物語に消化されない。いっつも女が主人公の顔に見惚れるだけ(笑)。メインヒロイン含め5人くらいは攻略できそうなのだが例外なくレイープか輪姦か惨殺、もしくはそのすべてをヒロインたちが味わうというとんでもないライトノベル。しかも「レイープでも身体は正直に反応してやがるぜメソッド」を採用。女の子にはお薦めできない。第三世代のおたくにもお薦めできない。鬱展開とかNTRとかそんなチャチなもんじゃ断じてねえ。もっと恐ろしい、女性キャラの内面への無関心って奴を味わったぜ。
おもしろいことはおもしろいんだけどね。シチュエーションを連発して飽きさせないし読ませる筆力もあるし。奈須きのこ的なものを読み取ろうと思ったんだけど作中で菊地秀行には大して興味がないのであろうと思われる部分に型月をほんのり感じるのですが、素直に月姫やったほうがいいのか、でも今更って気もするし。シリーズ最高傑作らしい夜叉姫伝は4000年を生きた女吸血鬼が敵キャラ兼ヒロインという読みが可能っぽいのでそこまでは読もうと思う。