めろん

零式 (ハヤカワ文庫JA)

零式 (ハヤカワ文庫JA)

ヤンキー版少女革命。コードギアスの世界でヤンキーウテナが幼女アンシーと頑張る話。劇としての展開は皆無でひたすら「約束された脱出」に向けて物語は進行。壁に囲まれた、というハルキムラカミ的な世界観だけど、そこはヤンキーだから当然「ぶっ壊す」ってなる。定番というか使い古された感のある構図なんで安心してドライヴ感に浸れる。スピードは池上永一とかよりも速いと思います。とりあえず「井上喜久子に教会で青春の衝動を慰めてもらえ」と。あまりに熱いヤンキーの美学に貫かれた聖書。象徴も暗喩も必要ない。弾丸をわざと砂糖菓子にして絶望するでもない。壁を壊して扉を開いたその先に、さらに銃口を向けること。撃たなくたって疾走れる。ゴッドスピードユー。普通にいい小説。『おおいなるつばさのしょ』くらいの。