サイコメ 1 殺人鬼と死春期を (ファミ通文庫)

サイコメ 1 殺人鬼と死春期を (ファミ通文庫)

けっこうおもしろかった。なにより新人賞受賞作が応募要項に記載されてる分量を超過してないページ数ってところが評価できるw ファミ通文庫は電撃さんと違うて信用できまっさかいにのうwww(誰?)
とりたてて優れているものはありませんが、ガキっぽい世界観の中で暴力や殺人のイマージュと戯れていて、いまどきのライトノベルらしい身体性がきっちり抽出されているし、作品設定を後景に押しやってキャラクター描写だけで話を作ってキャラクターたちの関係性だけで話にオチをつける。ぶっちゃけるとただの化物語フォロワーなんだけど、多くの(?)化物語フォロワーが「ぼくのかんがえた、さいきょうのガハラさん」をやっているだけのラノベシーンの中で、ちゃんと作品のアトモスフィアまでエミュレイトしている。まあそのアトモスフィアというのは殺人鬼というイマージュがただの萌え要素に留まっているくらいの世界観で暴力行為が行われる、いわゆる幼稚なオタク向けに特化したスタイリッシュ暴力なわけですけど。特に、前半はバカテス並みのアトモスフィアで暴力行為が行われるギャグラノベにも近いテンションで読めるので、後半になって殺人鬼たちを集めた学校の成立の由来とかシリアス風味になっても、暴力行為のイマージュがそのレイヤーから(読者は)出ることがないし、ぽよよんろっく絵がシャフティな演出で手足とか胴体が千切れたりするアトモスフェリックと似たベクトルの、幼稚なオタク向けに特化したスタイリッシュ感があって楽しめました。(楽しめた理由がそれ?)

そういえば、も女会の不適切な日常もファミ通文庫だったし、ひょっとしてマジであいつらちゃんと仕事してるのかもしれない。(上から)

まあなんちゅうの、世界観が幼稚だろうがリアリスティックだろうが、読む人の態度によるよね。たとえば、主人公は一般人なんだけど、殺人を何度も犯している凶悪犯罪者となぜか漫才始まったりラブコメになったり(バカテス的リアリズム)、お互い半死半生レベルの死闘を繰り広げてもなんか仲間っぽくなるとかさw ぶっちゃけ現実だったら1回のグーパンを顔面にもらっただけでずっと根に持つ体罰的リアリズムってあるわけじゃない? 一方で、(別に好きでもないという体の)美少女のために死にそうになるまで頑張る主人公とかさw そういうの考えると、西尾維新が確立した暴力とか殺人とかに対する世界観ってほんとおもしろいんだよね。もうほんとただのラノベw(逆説)

真面目に書くと、00年代に身体性を排除して暴力を楽しみ、幼稚であることを(強引に)内面化しつつシリアスなことをやってたあとで、SAOでうわああ肉体が取り残されたデスゲームだあああ、とかで肉体への意識が向いたかと思いきや全能感への憧れにズコーってなるラノベ(オタク)シーンってほんとおもしろい。(真面目に書いた?)(川原礫は去年1年間だけで文庫が400万部売れました。この数字は国民作家である東野圭吾に次いで第2位。最高にナウい)(ラノベ作家に限定された部数スレ情報なので1位が誰かは知らん。でもたぶんそうでしょう。)

まあここでまたしてもハードボイルドヒロイズムが召還されると。男の子って大変ね。