京子派としては、あざの、てめえこのやろう。(めんどくさいオタク)(京子のヒロイン戦線脱落がよほど悔しかった模様)
さておき、色んな奴が色んなことを考えながら動いてそこでの衝突と逡巡と激しい感情の振れようが描かれているので、これは良い小説ですよ。しかも、その感情の激しさがハードボイルドヒロイズムの一歩手前の領域に留まっているのがいいんだ。ヒロインのため、仲間のために自分(たち)がどうあるべきか、どうあれば美しいのか、どうあれば善いのかを作者は試し続ける。そういう試練を与えてキャラクターに乗り越えさせようとする。私が思うライトノベルの魅力の一端がガッツリと描かれている。まあそれをしっかりやるのに9巻かかってるけどな!

異能のある世界と現実の世界のリアリズムの衝突を避けつつ、近代ヒロイズムの袋小路を無視することにより、うまい具合に神話的な、少年漫画、おとぎ話としてのヒーロー譚に落としこめていると思います。そのへんのバランスの好みは人それぞれだし、読むときにギアを変えるのも自由だからね。そういう留保はあるけど、作者が夢想する美しさとかかっこよさみたいなものを描いていて、そのおかげで現実のリアリズムから解き放たれた英雄物語の萌芽みたいなのがあるんだよな。主人公大して活躍してないのにw でもそれを言ったらほとんどの小説は作者の夢想するかっこよさとかが志向されているわけで、結局ダサいことやってる作者と作品はダサいというおもしろくないことしか言えない。(ラノベがある種のリアリズムを引き受けることで逆に悲惨なことになるってのはよくある)(センス闘争万歳!)
まあ単純に私としては、キャラクター小説であることにかこつけて色々とないがしろにしながら描かれるオタクのためのヒーローよりはこういう青春小説的な造形のほうが好きってだけですが。