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- アーティスト: 妖精帝國
- 出版社/メーカー: ランティス
- 発売日: 2013/03/27
- メディア: CD
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もうみんな妖精帝國のことをオワコンって思ってるだろうけど、これはかなりの力作だった。先行したカラフィナはまどまぎとかフェイトゼロを援用したアニメッシュワールドな消費スタイルで聞いてもマンネリっぽい雰囲気があったわけですが、そんな強力アニメタイアップアルバムに妖精帝國は未来日記で対抗w でも結果は妖精帝國の勝利っていう。荘厳な雰囲気とかアレンジの高級感とかボーカルの安定感とか全部カラフィナが上だけど最終的な勝利は妖精帝國。まるで少年漫画や。カラフィナのギルドっぽさとは違って、ストリートで鳴っている雰囲気がある。(私の脳内で)
なにがいいかっていうと、ぶっちゃけると内田真礼っぽいの。どういうことかというと内田真礼が担当したアイマス神崎蘭子のキャラソンに「華蕾夢ミル狂詩曲〜魂ノ導〜」っていう曲があって、中二病的なものを茶化したシンフォニックロックなんだけど、普通にかっこいいんだよ。あれは中二病の茶化しがメタルの機能性を通過したら、声優ボーカルのエクリチュールを帯びて、カジュアルなゴシック、ストリートで繰り広げられるゴシックになったものだと思っていて、妖精帝國の今回のアルバムは中二病でも恋がしたいとアイマスの神崎蘭子を接続させるとするっと気持ちよく自分の中に入ってきた。だから私の消費スタイルにとってタイミングがよかったのん。
中二病の茶化しの流れで言うと、たとえば、シンフォニック・ゴシック的な荘厳さへの憧れっていうのは元々はそういうものを綺麗で、かっこいいって思ったから好きになったりしたわけでしょう。コンテンツレベルではオタっぽいいじり系コミュニケーション漫才のためにキャラ付けされているのがほとんどなので、そういう中二病からストリートに接近した美意識としてのゴシック趣味って語られないことが多いけどでも現実のストリートのレイヤーではちょくちょくあるでしょ、バンギャル的な感じのやつとかw バンギャルっぽい生々しさがあるんですよ、このアルバム。(どんな生々しさや)
メタルっぽいバンドサウンドの肉体性が確保されているだけでなく、インダストリアルやオルタナティブロック的なものも取り込んでいて、グラマラスでセクシーな部分もある。ちなみに妖精帝國は最近(?)ユニットから5人組のバンド編成になったようで、その辺でも意識的な音作りがなされたのだと推測されます。あと、ボーナストラック的に収録されている筋肉少女帯の「機械」のカバーによって批評性が立ち上がり、上で書いたような戯言を許してしまうのです。筋肉少女帯という固有名は容易に今のシーンの中二病語りと接続できるし、問題意識(?)もある程度共有されていると思う。
とまあそんな鬱陶しいことを考えなくても美意識に貫かれたものは聴き応えある。バンドにとって会心の作品じゃないでしょうか。