日笠陽子 Collaboration Album Glamorous Songs(初回限定盤)

日笠陽子 Collaboration Album Glamorous Songs(初回限定盤)

遅れてくるヒロイズム、とでも言うのでしょうか。日笠陽子けいおんの頃からその遅れにおいて自分の声優性を発揮していた人だった。けいおんのあの世界においてもまだ何事かを希求するかのようながむしゃらで、息の詰まる身振りとしての歌をいつも最後に聴いていたのであった。その攻撃的な姿勢はいつも最後に置かれてきた。
そしてシンフォギアGにおいても。日笠陽子の遅れてくるヒロイズムをなぞるかのようなマリアのキャラクター。手遅れ、後悔、間に合わない、それらの遅れてしまう何事かを背負う張り詰めたキャラクター。たどりつけない事、届かない事。
その場所において、堀江由衣の聖性にたどりつけない事。水樹奈々のヒロイズムに届かない事。しかしそれらを背負う事。遅れてくる事。
声優の歌手デビューバブルに遅れてくる日笠陽子。先行する何人かの人たちと比べると日笠陽子はいささか冥い内面へのアプローチを要求されているようである。ロックミュージシャンのような自己否定の美学、とまではいかないけれど、内面を研ぎ澄ませることを強いられているようなヒロイズムの発露がここにはある。

そんなことを思っても、ふとハイスクールDDのサイトの変な映像を見ていると、ああ、世界はまだまだ優しかったりするなあと。