2013年オブジイヤー

Scryers of the Ibis

Scryers of the Ibis

今年のMVP。「ぼくのかんがえたさいきょうのめたる」つまりは既存のネタの悪魔合体。しかしそれを成立させるには優れたセンスが要求される。このバンドはジェントでプログレでシンフォブラックというありそうでなかったところに切り込んでいきなり高純度なメタルとして成立させています。邪悪さ、獰猛さ、美しさを備えたメタルとして、衝撃度では今年一番だった。
More Constant Than the Gods

More Constant Than the Gods

探偵小説のような密室感に彩られた、美しいスラッジドゥーム。耽美系。10分超えの長尺曲が冒頭から連発しますが、物憂げな歌メロがきれいなのと、ドカドカしたドゥームパートの楽器隊の絡み合いも緊張感があって、聞きとおせる。
特製・脳味噌絶倫スープ~生クリーム仕立て~

特製・脳味噌絶倫スープ~生クリーム仕立て~

これも探偵小説というか、耽美系グロテスクポップ。昭和なモダンを2013年のロックで鳴らすとこんな雰囲気になるのかなあと。
Carpe diem

Carpe diem

またもV系周り、しゃくりあげたナヨナヨボーカルというV系の偏見まんまのイメージをめちゃくちゃ気合の入った雰囲気作りの歌謡ロックでやってくれてもうたまんね〜w という感じです。
春と訣別と咲乱

春と訣別と咲乱

ジャケ出ないのかよw 青春ラノベと轟音系オルタナロック。
天庭(初回生産限定盤)(DVD付)

天庭(初回生産限定盤)(DVD付)

え? 神咒神威神楽? 
War Master

War Master

ジャケから想像されるとおりの、完全無欠のヘヴィメタル
Death By Fire

Death By Fire

完全無欠の、スピードメタル。コメントめんどくせえw
Tetragrammaton [Explicit]

Tetragrammaton [Explicit]

万年中二病のインダストリアルシンフォグラインドデスメタル。しかしその中二美学は端正をきわめ、もはやマエストロの域。音楽性は異なるけど、最初にあげたOvid's Witheringと同じような、「ぼくのかんがえたさいきょうのめたる」を具現化してる。
Har Nevo

Har Nevo

ポストロックなスラッジ。フォークぽい要素もあり、ボーカルの乗せ方がユニーク。アキラのサントラみたい。
Sempiternal

Sempiternal

DQNデスコアにポストロック風の叙情性をプラスして化けた。
Fortress

Fortress

完全無欠の、ハードロック
Love Lust Faith + Dreams

Love Lust Faith + Dreams

ロックバンドのアルバムとしては前作のほうが断然いいのだけど、やはり聞き込んでしまったのである。それというのもやはりPVやアートワーク含め、こいつらはクールでオシャレで()、そこにヒロイズムを強調した連帯を呼びかけている。アリーナクラスのバンドが持つ政治性であるなあ。
A WILL

A WILL

ドーム・スタジアム級のスケールで鳴らされるジャパニーズロックの追及とロック・クラシックな存在であろうとする自意識に支えられて、貫禄ありすぎな感じで仕上がっている。過去作も聞きなおしてみて、この独特のバンドアンサンブルにはやっぱり魔力が宿っているなあと。


TVアニメ「新世界より」ED主題歌「割れたリンゴ」「雪に咲く花」

TVアニメ「新世界より」ED主題歌「割れたリンゴ」「雪に咲く花」

種田梨沙花澤香菜のスプリットシングル。言わずと知れた2013年の奇跡のひとつ。(え
どうせなら、と声優ソングでこれはとおもったものをいくつか。『なんで?なんで?なんで?』 茅野さん あまり知られていない2013年の奇跡のひとつ。花澤さんの恋愛サーキュレーションに匹敵する底なし沼のような声優ポップの深淵がここにある。
ひなビタ♪ORIGINAL SOUNDTRACK

ひなビタ♪ORIGINAL SOUNDTRACK

『虚空と光明のディスクール』 水原薫  V系ソングみたいなタイトルですが、シャレオツなシューゲポップ。
Dear friends

Dear friends

『キドキド』 ロウきゅーぶ  これにより、声優は複数いると、パンクロックの合唱を始めるという都市伝説を生み出した。革命デュアリズム  水樹奈々とTMさん  革命をLet's shout。『your voice』 ローダンセ  言わずと知れた2013年の以下ry防人&マリア  いずれにせよ、マリア最高だった。 洲崎綾 楽曲提供のメンツが花澤さんのチームとかぶってたり、実際似たようなラインに乗せてきているわけだけど、こっちのほうが圧倒的に祝福感がある。山田尚子という稀代の才能の隣に置かれたタイアップによる印象の差、というだけではなくて、花澤さんのソロには世界を革命しようとする意志が希薄だからだろう。
デートTIME

デートTIME

言わずと知れた2013年の以下ry オタク界隈の生え抜きだけではなく、この3人だったということに、何かしらの意味を見出したい。(オタ軽10的な寸評)
W:Wonder tale

W:Wonder tale

『ワンダーテール』 田村ゆかり  おそと走ってくりゅう。太田雅友田村ゆかりのケミストリーのすごさを確認した1年でもありました。
TVアニメ「GJ部」 キャラクター・ソング & サウンドトラック集 後編 グッジョぶの音楽“J

TVアニメ「GJ部」 キャラクター・ソング & サウンドトラック集 後編 グッジョぶの音楽“J"

GJ部キャラソン ここにも革命の息吹が……。『マスカレードキス』 田村ゆかり 太田雅友作曲、俺修羅の作者作詞による会心の一撃 
TVアニメ「ゆゆ式」オープニングテーマ「せーのっ! 」 (限定盤)

TVアニメ「ゆゆ式」オープニングテーマ「せーのっ! 」 (限定盤)

『せーの』 ゆゆ式 言わずと以下ry
TVアニメ『ガンダム ビルドファイターズ』挿入歌「ガンプラ☆ワールド」

TVアニメ『ガンダム ビルドファイターズ』挿入歌「ガンプラ☆ワールド」

碧ちゃんが世界を貫きながら放つニューウェーヴ・シューゲーイザーパンク。ガノタファンタジーの作品内でのアイドルソングという際立った批評性の中に置かれると、この曲はまどマギ弁証法で示された天使の空間が開くための武器として歌われるだろう。『let me say!!』戸松遥 
すっかりオタ界隈にどっぷりのウニゾンの中の人がキャラソンをガッツリ男女問わず手がけているんですが、基本的にはウニゾンとそう違いのない手数多め、展開多めのポップロックで編曲に色んな人つけて、それを声優さんの表現力で歌うと本家ウニゾンよりもいい具合のケミストリーが生まれて、すごい楽しめる。似たような雰囲気の曲が多くて、これで歌手が一人だったり同じやり方でもう1作2作手がけたら確実に飽きると思うけど、クリエイターのネームバリューと声優の表現力に依存してるようなタイプとは一線を画したキャラソン集になってる。私はどちらかというと男性声優のはスルーするタイプだけど、梶くんとか、色っぽく歌ってて、いいなあと。
蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-「Blue Field」キャラクターSongs

蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-「Blue Field」キャラクターSongs

作品世界の解像度にピントがしっかりあってて、良い出来。歌アニメのシンフォギアみたいなのがあって、でもあそこまでコッテコテになりすぎなくて、でもシリアスでスケールもあってかわいくて、というキャラソン集は可能なのだなあと。

小説はこれが一番おもしろかったです。山田風太郎ってこんなにすごい作家だったんだ!、と読みながらジャンピング土下座する勢い。忍法帖みたいな荒唐無稽、もといアホみたいな話書いてるイメージしかなかった俺のほうがアホだった。探偵小説としても、娯楽小説としても、江戸の終焉と揺らぎを背負った明治初期の胎動を虚実入り混じった登場人物たちで描き出す文芸小説としても一級品で、知性の閃きがヤバい。登場人物と作者の距離感が絶妙。感服つかまつった。
去年の北方謙三に続いて、時代小説を2年連続でベストに選んでしまったぞ。果たして僕はどこに向かっているのか。
進撃の巨人(12) (講談社コミックス)

進撃の巨人(12) (講談社コミックス)

ベストではなくて、ワーストw ちょっと前にドラゴンボール読んでたらわりと後半から目立つのキャラピンチに陥れるための理不尽なストーリーテリングで、主にサイヤ人美学による「なんでそうなるw」みたいな転がし方のことなんですけど、実際それがすごいグルーヴを生んでておもしろいんですよね。んで進撃ってこのラインなのかもなあって思ったんですよ。バカ売れしてて、おもしろいって思ってる人はもしかしたらそこに飲まれてるのかなあって思った。進撃は、たとえるならば、トランクスが未来からきたことを説明しないまま人造人間編をやったりするようなことをやってるわけじゃないですか? 読者はうおーあの超サイヤ人どういうことなんだよwwwSFじゃね?ループじゃね?パラレルじゃね?マブラブパクってんじゃね? というキモい深読みごっことキャラの読者の方を向いていない会話が後付け設定への抵抗だと思ってるかっこ悪さとか、時代の変化だなあって思いました。
ドラゴンボールって今のオタクカルチャアから見るとちょっと浮世離れしているというか、ジョジョとか同時代のやつと比べると実作の部分での影響ってあまり語られることがないのだけど、人造人間編でトランクスとセルが未来からきたことによって違う形の現代になってしまったっていうとこで、読者を振り回してた部分は単行本にすると1巻分にも満たない話数でSF的なネタ振りとハッタリをきっちり回収してまた新しい目的(セル完全体阻止)にもっていって、さらに人造人間たちが見せる人間的な部分とクリリンの戸惑いと恋愛感情みたいなものをバトルと平行して見せながらピッコロの常識的態度やベジータサイヤ人美学とか、緊迫したバトロワ状態でセルは完全体になって「ああ、どうしてこうなった」っていう部分で、やっぱドラゴンボールってすごい漫画だったなあと。めちゃくちゃエンターテインしてた。
さりとて進撃の巨人はというと利己的なキャラクターたちに延々と腹の探りあいやらせて意味の強い言葉と顔の表情をおどろおどろしく強調してれば何かしら高級感が得られると勘違いしているのか、さらにプロットも進まずに唐突な事態とその回避を繰り返して引き伸ばすばかりで世界設定の寓話性も完全に霧散して、まともに物語をやるにしても閉じた作品世界がそれに適してないからひたすら迂回するっていう。
素朴な問いで、12巻かけてこれまで何が描かれたの?って思うんだ。ドラマを描けなくて、ひたすら相互不信を煽りつつ、読者視点である主人公は特別ですよ〜って幼稚でアホらしいなあって。まあどんだけ編集サイドと宣伝マンたちが仕掛けてこようが、書かれていくものはその人たちの精神性みたいなもんがにじみでるもんだと思っているので、世界設定の本筋みたいなもんはそっちのけで一方的に被害者ぶったり突然イキがったりするそういうクソなスタンスでそれがウケているんだなあと。
おそらく中高生の読者も多数いると思うけど、思春期に読むこういうハードな漫画()に彼らが期待するのは、いわゆる少年漫画的な寓話性から脱した近代的主体へのアプローチ、もしくはある種のぬるさから卒業して大人ぶりたい年齢の世代が期待しているのは自分の世界観とか人格形成にまで影響あったかもって、後々年食ったら思えるような作品になることだと思いますが、そういうのが感じられないんだよなあ。まあ金かけて作られたアニメでオタクにバカ受けしたことから察するに消費に最適なオタク向けの漫画でしかないのかなあとも思いますが。
しかし、この漫画のページからにじみ出る作者の肥大した自意識ってか、すごいことやってるって思われたいオーラみたいなのが作中の底の浅い人間観と絵の下手さも相まって気持ち悪くて、いい加減キレそうになって、だからワーストw
まあなんでこんなにdisったかというと以前作者が「世界に対して復讐したいって気持ちで描いてる」とか言ってるインタビュウを見てしまったので、だから余計に貶したくなったw
ONE PIECE 69 (ジャンプコミックス)

ONE PIECE 69 (ジャンプコミックス)

ワンピと進撃。2013年に売れまくった漫画の1位と2位なわけですが、ワンピースは今年の夏ごろに全巻初めて読んで、すっかり夢中になってしまった。そんな僕からすると、この巻の表紙にいるたしぎの軍用防寒コートがピンク色ってだけで、ただそれだけのことで進撃の巨人のはるか高みに存在していることになるんですよw ピンクの軍用コート! どう考えても天才の所業でしょう。 それにひきかえ、調査兵団だかの、非アニメ的、現実的な想像力を反映させたと思しき、アーミーな緑とベージュの色使いの軍服の惨めさといったら……。ほんとダメだよね、進撃の巨人って。文芸的ショック漫画にもなれないし多重人格探偵サイコみたいなオサレショック漫画みたいなラインでも評価できない。評価できるとしたら、最強メンズのリヴァイがお掃除キャラなので人工知能学会よりはフェミ配慮できてるっていうことくらい。
忍者武芸帳影丸伝 (1) (小学館文庫)

忍者武芸帳影丸伝 (1) (小学館文庫)

Sex 1 (小学館文庫 かB 7)

Sex 1 (小学館文庫 かB 7)

あとはこのへんすかね。






何も言うまい。いやーしかしスターアニスではなくて声優本人が歌っていたら、ほんとうにどうなっていたのか。革命……。