昨日に引き続きファウストを。


上遠野浩平すずめばちがサヨナラというとき』(イラスト/ウエダハジメ)この人の小説を読むのは久々なのだが、あまりの文章に魔力が宿ってないっぷりにビビる。こんなに平易な文体だったのか。出来も微妙。カットバックの効果がまるで出てないし、タイトルとオチだけ思いついてそれをブギーポップで適当に書いてみました感が否めない。あんま詳しく知らないんだけどね。アレとかソレの単語だけで勝手に思い込んでます。長編の一部分だけ抜き出したみたいな印象でどうにもならん。なんかダサいです。情報の欠落があって見える見えないでドキドキしてるはずだったのに種明かしで肩透かし。単にオイラが秘密結社とかそういうモノが暗躍してる世界観に馴染めないだけかもしれんが。つうか戦闘シーンがまったく燃えない。


乙一『窓に吹く風』(イラスト/小畑健)なかなかいいです。上遠野のあとに読むとさらに。時系列を乱す意味がきちんとあってそれが機能してる。アイデアは自体はオーソドックスですが、それに関わる人間がきちんと節度を持ってます。ぶっちゃけ白い乙一ファウストっぽくないです。恋愛モノとしても読めます。人によってはその慎ましい節度の中で起こっている恋に物足りなさを覚えるかもしれません。でもこの短編をステキにしているのは主人公二人の距離感です。お互いが期待したり求めたりすることのバランスが繊細に書かれてます。いいです。この乙一


佐藤友哉鏡家サーガ>外伝三作(イラスト/笹井一個)ユヤたんが真っ当な小説家になろうとすることを喜ぶべきなのか悲しむべきなのか。文体を、語りを、小説技巧を意識的に使いこなし、文学的意匠を綺麗にまとめていること。真摯さが剥き出しになるのもいいです。もうちょいスマートに書いてくれたらマンセーしそう。


西尾維新新本格魔法少女りすか』(イラスト/西村キヌファウスト1号のりすかしか読んでない。りすかとキズタカが萌えます。駒とか言っちゃってアンモラル気取ってるけどお前らイチャイチャラヴラヴしたいだけちゃうんかと。愛こそが二人の箱舟。アホ。
零崎軋識の人間ノック2』(イラスト/take) これまた固有名詞に反応できずに読む。戯言の第一作しか読んでないのでお嬢様とメイドしか分かりません。でも西尾うまいね。燃えるわ。語りはベタだけど煽りが上手い。躍動感があります。戯言シリーズも読むべきなんだろうけど古本屋に落ちてこないんだよな。