ちょっと期待

ドラゴンマガジン 「スプライトシュピーゲル冲方丁×はいむらきよたか
ザ・スニーカー 「オイレンシュピーゲル冲方丁×白亜右月
なんかあんまり感想が書かれてないみたいなので。あんまり注目されてないのか冲方丁リアルフィクション的なるものを突き抜けていつのまにかオタク文芸界の権力の中枢に食い込んでいるウブですが、「いいからさっさと小説書けよ」という声に応えての新作。でも二誌同時展開という政治力全開でお送りします。
単純にどっちが良かったと聞かれればイラスト含めてスプライトの方です。おそらく意識的に為されている文体の実験性は両作品に共通している作家としての新しい挑戦だと思われるのですが、これがなかなか気持ちいい。その達成度はスプライトの方が上かと。ブツ切りにされていく名詞とフレーズのザラザラした感じが大げさな展開と微妙な軽薄っぽさに合っている。んで比較するとスプライトはどっちかというとキャラクター性を押し出しててオイレンは主題を分かりやすくまとめているという感じです。ドラマガとザ・スニって初めて買ったから雑誌のカラーとか分かんないけどおそらくそういう所も合わせてるんでしょう。オイレンは少女の成長譚というお得意のアレなんで文句言いたくなったけどマルドゥックみたいにお節介なネズミは出てこないので爽快感はあります。オイレンの真面目さとは対照的にキャラの内面を掘り下げないでいい意味でラノベっぽいハチャメチャ感があるスプライトの方が楽しめる。同一の世界観なんだけど雰囲気はスプライトの方が好み。あとやっぱり俺は灰村絵が好きなようです。しかし、2016年という設定はあまりに近すぎるのではないかと。