すばる6月号 古川日出男『狗塚らいてうによる「おばあちゃんの歴史」』

やはり古川日出男はバケモンだと思いました。古川版『百年の孤独』というか、なんだろ。冒頭からガチガチに精度を高めたイメージが現れてきてそれがゆっくりと読者を侵食。語り手と時系列をスライドさせても迫力は衰えずに読むほど引き込まれていく。大長編の中の200枚を抜粋して掲載したような印象なんだけど中篇として書かれたはずなのにそんなことを考えてしまうのは書かれたものとしての揺るがなさというか完成度がそんだけ高いのかとも思ってしまう。ある種の神話的な暴力性が満ちてるのは相変わらずでそこは安心しました。SFだし。
そういや三島賞の候補にLOVEがなってたけど今年はスルーして来年これでとればいいと思います。