伊坂

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー

やはりこの作家、ワシは好かぬ。
権力の監視社会VS人間の信頼というモチーフはそれなりに好ましいものではあるはずなのだけど、どうも安っぽいというか薄っぺらいというか。まあ娯楽小説だわな。好人物な首相(これもすごいな)が殺されて、見えざる力で犯人に仕立て上げられる主人公、過去パートがちょくちょく挿入されながら被害者意識たっぷりに話は進むんだけどその過去よりはささやかな成熟を経た!人間どもがスタイリッシュに都合良く逃走奔走するという春樹チルドレンゼロ年代。伊坂らしく無頓着な物語の生贄には抜かりなく、冒頭の首相と主人公の親友とそういうのには関心がないようです。会話とか社会への皮肉とか、こういうのカッコイイでしょアピールがひたすらダサイです。首相殺しやら過防備都市やらを扱って書くのがこれかと。でも書かれたものなんて結局はフェティッシュの問題だからそれにブー垂れてもしょうがねえ。快楽への寛容。
直木賞(笑)ダヴィンチ(笑)本屋大賞(笑)このミス(笑)
便利だな