邪気眼小説的!批評、臨床、エンターテイメント。面白かった。
ハルヒへのあてつけというか
野島伸司が
ハルヒを書いたらっていうか普通にロミオが
ハルヒを書いたらでいいだろ。
中二病をライトノベライズして「普通」に挑む青春小説。症状はほとんど改善してないのに革命が成功してしまったかのような結末。でもこれが現時点での
中二病に対する
田中ロミオのアンサーなのかな。ふたりの主人公の臨床のプロセスがすごく洗練されてるしシャカイに抑圧されながらもそれに抗うように挿入される詩情はさすがというしかない。ギャグの奔流に誤魔化されそうだけど、すごく少年性に訴えるものがあった。家族やクラスメイトや教師も魔法にかけられたようなハッピーエンドで「何でオレはこのクラスに存在してないんだ」と言いたくなるくらい読後感は良い。
中二病的なるものが抱える問題を抽象化せずに(誇張はしてるけど)どうやって内面化させるかをシミュレートしてみせたという点においても良い小説だと思う。大島がヒロインの続編で
ケータイ小説の内面化は無いか。レイープとかクスリは内面化しちゃまずいよな。これはギャルゲーメソッドじゃなくて元テロリストと現役のラブストーリーなわけだし。行き違ったシンパシーの相克のなかで社会と向き合う、徹頭徹尾現実的な
ライトノベルだった。奇妙な話だ。