ダークナイト

うちのめされました。ジョーカーマジ半端ねえ。冒頭の銀行強盗から最後の最後までガチンコすぎる。終わったあとちょっと頭痛がした。こんな映画が歴史的な超ヒットとは、アメリカはやっぱり狂ってんなw。セックスアンドザシティとか観て大きな成熟目指そうぜ。
それにしてもドがつく直球。怖すぎ。ゲーム的なんたらとかゼロ年代がどうたらとかに踊らされてた最近の自分がカスに思えてきたぜ。アメリカ的フェティッシュを極めつくした超傑作。青春も成長も成熟も何も無い。ディストピア寸前、人間的存在の臨界点。とまあそれっぽく言ってみたけどここから何か考えなければ意味が無い。伊藤計劃アジビラ読んだせいで初日に観に行くというミーハーかましてしまったんだけどそれはさておき、伊藤が言うとこの世界精神型の悪役にフェティッシュを刺激されるタイプの人間がいる(世界精神はツンデレとか幼馴染みたいな属性と同義!)。俺もそうだ。その快楽をどんな風に味わおうとするかが問題になる。たぶん。単純にその観念に心酔したり、「攻略」するためにループしたり、「ジョーカーを止めるために」とか言いながらよしながふみ読んだり。

世界が巨大な精神病院であることを実証する「20世紀末の都市生活に適応した、かつてない認識体系を備え」た、「従来の常識を越えた『正常な』人間」。

こういう悪夢めいたフレーズっていくらかは本当で、でも完全に世界が精神病院化することもまたないよね。(そうじゃないと証明するシーンもある。)言葉遊びみたいだけど。ジョーカーの用意する状況はジョーカー自身のオブセッションの実践であると同時に自分以外の人間が持ってる悪を断罪しているようにも見えて、まるで「この世全ての悪は俺が引き受けてやるよ」と発狂してる殉教者みたいなのだ。もちろん作品の表象としてのジョーカーはそんな生温いことは考えていない絶対悪だし口裂けエピソードで内面吐露かと思ったら余計おぞましさを増す徹底ぶり。善悪の概念をグチャグチャに揺さぶってそんな中で「コインの裏表で決まる運だけは公平だ。」とか言う奴もいるんだけどそれも圧倒的な悪意の前で負の連鎖に引きづられて堕ちてしまっていて容赦がない。ジョーカーの超越性って簡単に言えば不断の更新で「俺様が用意するこの臨界点をこの世界はいつか突破してくれるだろう、するだろう」というようなことをフェティッシュとは別の、悪を志向する意思は考えているのだろう。適当だなw。なんだよ、悪を志向する意思ってw。「今はそのときじゃないんだ」とか言われたせいかな。
Rating:9.9/10
そして誰もが言いたくて、でも言えないことを言いますよ。
コレ観たらジョーカーに浄化される。シャレではなくマジで。アンジェリークみたいに浄化の光出せねえからな。や、アンジェ自体は最高よ?