いちばんうしろの大魔王

ふむ、なるほど。これは評判がいいのも分かる。渡部高志監督作品は声優が気持ちよく自身の声優性を発揮しているので気持ちいいです。キャリアを振り返ってみても声優性に対する批評とその実践が見えてくるけどこの作品では主役の近藤隆の起用が耳を引いて(ラノベの主人公声)、代永翼の子分キャラもスルリと作品に介入出来ている。女性キャラに関してはここ1〜2年の流行の引用に留まっている部分があるけれど、日笠陽子の強情な声質を強調したツンデレは心地よいし、アニメの声優としてはイメージがブレている感のあるたかはし智秋の芸達者ぶりを保険医として綺麗に落としこんでいるところにも唸らされるものがある。渡部組?の伊藤静にはこれまでの無邪気さとか天然っぽさみたいな部分を排除した悪女を演じさせて新しい課題を与えているのも好印象。ともすれば乱暴に扱いがちな声優性だけど、渡部高志はそれに関して最も非凡かつ繊細な感覚を持っているアニメ作家だと思う。