インセプション

他人の感想を読まずにファーストインプレッションで。
もう観てる最中は疲れる疲れるw疲れるってことは引きずり込まれて圧倒させられているってことなので最後までその状態が持続したこの映画は傑作と言ってもいいのでしょう。
僕は映画に関しては伊藤計劃ダークナイトの感想に煽られて初日に見に行って圧倒されてしまいそこから興味を持ち始めたただのミーハーなので大した感想も書けそうにないけどダークナイトに続いてクリストファー・ノーランの名前が特権的な意味を持つのはこれで決定してしまった。
重厚な画面と複雑で捲くし立てられるような編集、アナーキーでスタイリッシュなSF犯罪映画。そこにゲーム性とばかりに設定されたルールはまさにワナビでwニヤニヤしてしまうし、ミッションに挑むチーム戦、それぞれのキャラの立ち具合も素晴らしい。主人公とヒロインの問題設定も濃密で、主題と活劇が絡まりながら異様な密度で展開される。
このフィルムを非凡なものにしているのは個々のシーンにおけるイメージ、そのイメージのバランス感覚だと思う。夢の中のリアリズムと現実のリアリズムをどういう形でフィルムにすればカッコイイのかという最適解。夢の中だから街が裏返ったっていいんだぜ?というならちょっと設定追加してアクションシーンでももっと分かりやすいフックを普通ならやりそうなものだけど(ありがちなものだと銃弾スローモーションとか)、やるのは無重力状態での取っ組み合いwでもそれがめちゃくちゃクールに見えるフィルムになってる。市街地での銃撃戦にしても、一つのイマージュだけを暴走させてそこからは極めてリアルな質感ですごい迫力を出している(夢の中なのに)。007ミーツマトリックスとか言われててもこの2作品のイメージって正直ダサいやん?まあダサいっつうかそういうジャンル映画を通過した上でインセプションのイマージュ群があると言ったほうがいいのかもしれない。舞台設定に奉仕する美術とか衣装とかCGの洗練がハンパじゃないので上映中の2時間半はまさに「お前の頭の中に侵入する」状態。
オチは詳しくは書かないけど最低でもあと2つはシークエンスが必要だったのにわざと見せてくれないという意地悪設計。でもあれでいいと思います(しかしせめてラストのカットがあと10秒持続していれば!)。エンドロールもまるで「みんな夢から覚めてね」というような、とある演出がされていて最後の最後まで楽しめました。大満足。