そして僕は感想を書き続ける。

魔法科高校の劣等生の4−9まで読んだ。とぅぎゃりで2章のあとに4章を読むといいよと言われていたのを信用したが、読んだ後だと別に3章をそのまま読んでもさほど印象変わらなかっただろうなと思う。
ちなみに4章は回想編です。
3章のあれやこれやの幕間っぽい話がちょくちょく出てくるがまあ読み飛ばし。

過去編という話を聞いていて、手のひら返しをするならここかなと楽しみにしていたのですが、微妙に掘り下げが浅いなと。前日譚の一部が語られるんだけどそこでも最初っから「俺TUEEEE」にしてしまうんだなあ。なんなんだろこのストイックさはw達也さんは13歳ですでに自らのハルキイズムを完成していたなんてw

こんな日記は誰も読んでないのでネタバレするけど主人公である達也さんの「やれやれ感」っていうのは母親から受けた改造手術のせいだったらしいんですよ。あらゆる感情が希薄化してしまって唯一残ったのが「妹への愛情」ということが明らかにされるんだが、ここで普通だったら「やれやれ化」する前の出来事を書くと思うだろ?
例えば、なんだ。「殺し屋が殺人マッシーンになってしまう前の穏やかな日常とマッシーンになってしまうようなきっかけとなる悲惨な事件があったり、それでもその男は目的を果たすために改造手術を受けて殺人マッシーンをなることを選んだのだ。もうあの頃には戻れないのだ」みたいな前日譚があると思うだろ?
でもこの魔法科はそんなに甘くないぜ?そういうベタなセオリーなんてガン無視w改造手術のこともTUEEEE描写のあとにセリフで説明されるだけ。
妹に危害を加えた奴はなぶり殺しだぜヒャッハー、を「心が欠落してしまった僕」みたいな描写で語るんだけど、ちょっと萎えてしまう設定だったなあ。兄と妹の禁断の愛の成立条件がこんなのかよってw しかもこの設定だと達也さんがこれから誰と絡んでも妹だけが別格になってしまうからそれはどうなんだ。

妹が初めて「兄貴TUEEEE」を知るエピーソードだけど、なんか動機としちゃ弱いんだよ。妹の回想で始まるんだけどすでに兄貴が「やれやれ化」しているのでグルーヴ感がまったく無い。「お兄様ったら本当はこんなにハイスペックイケメンだったの」以上のものがあったとは思えないんだよなあ。兄の秘密を妹が知った事件というだけで根本的な前日譚ではなかった。
どうもこの小説世界では差別主義的、能力主義的なイデオロギーが強調されまくっているのでそこに眉をひそめてしまう。
なぜ達也さんは母親から改造手術を受けなければならなかったのかっていうのがそういうイデオロギー設定だけで回収されてしまうので全然エモーショナルにならないんだよ。
魔法使いの家系に生まれたけど欠陥品だった、だから母親から改造手術を受けましたってのがほとんど葛藤もなく提示されるだけだからねえ。細かい描写はよんでないのでそうじゃないよっていうエピソードを読み逃してるかもだけど。
どうも主人公の、というか兄貴と妹の物語の動機は「自分達を追い立てたこの世界のイデオロギーの被害者であり続けたくない」という消極的なもので、でもそのわりには「本当は高貴な血筋である特別な僕達私達」という特権性を手放さないままダブスタかましているのではないかと。

前日譚なあ。やっぱり特権性とか超越性を主張するキャラクターの前日譚ってすごく気を遣って欲しいじゃない?「こういう過去があるからこの人はこうなんだ」って思わせて欲しいじゃない?分量的にも、普通のラノベの半分くらいで、中篇という感じだったし、やっぱりコンテンツとしての演出とか構成力には欠けているんじゃないかなあ。
CQの語りのレイヤーをどう中和させるのか、三木一馬の手腕を楽しみにしています。はい。