輪るピングドラム

3話にして、この視聴時の感覚って何かに似てるなあと思ったんだけど、そこで出てきたのは荒川アンダーザブリッジだった。1話のときに新房だのシャフトだのと言われていたが、3話目でついに僕もそう思ってしまったw でも新房シャフトではあるけれど、1話のアヴァンギャルドから連想するのではなくてある種の穏やかさや慎ましさから荒川アンダーザブリッジを連想してしまったのである。
やくしまるえつこやら、超常性を持つヒロインやら、河川敷と公園にあるボロ屋などの舞台設定やらこじつけられれないこともないけれど、ここで現れる女性的なエクリチュールというのはそれ自体ではなくてフィルムに定着している感覚であるから、たとえばここでの林檎のモノローグと荒川のリクのモノローグが僕にとっては近しいものであると感じられるだけで大した意味を見出すことはできない。
軽犯罪、お魚くわえたドラ猫、ストーカー少女の慎ましさ、不思議に説得されてしまう強度はやはり優れたアニメを観る幸福である。
女性キャラがみんなやたらとかわいくて、色っぽい。そのかわいさとか色っぽさが男性的な感覚ではなく女性的な感覚で描かれていると感じられるのでそれがフィルムにきっちり定着しているのかもしれない。
林檎の欲望に添って描かれた3話だけれど、男性は能登声の美人にカレーを作ってもらっておかえりなさいとか言われたい、女性は能登声の美人になって恋人のアパートでカレーを作って出迎えたいという反転が起きているとする。家族で決めたカレーの日という視座が分裂する。家族以前の女性の欲望。家族の欲望とか、恋人の欲望とか、そういうものがこれから出てくるのでしょうか。