『マルタの鷹』
もちろんこれからどんどん狂っていくであろうハードボイルドラノベの雑兵どもを殺すために読んでいる。ハードボイルドの始祖とされる作品ですが、この時点で秘書、同僚の妻、謎めく依頼人を相手取るハーレム小説。(ついったーなら500RTは確実の含蓄)

やはり形式に注目しながら読むと読書が滾る。昔から「チャンドラーと違ってハメットはガチ」みたいな言われ方をしているし、実際ハメットが特別なのかもしれないけど、主人公のキチっぷりは魔法科高校の人に通じるものがあるなあ。別に脳みそに魔術をかけられて感情を失ったわけでもないのに。
1920年代のアメリカではハメットは現代小説として書かれた、なんていう人もいたけど、この主人公のような振る舞いが何がしかの特権性を帯びていて、有効だと思われていて、その模倣が100年くらい続いているということに驚かされるね。近代社会もといサバンナの掟も日々変化していくし、基本的には模倣の中でだらしなさが露呈していって気持ち悪くなっていくのだけど。その最前線にいるのがサバンナ系のオッサンラノベであることは以前言ったとおりである。