「だめ、アキト。あなたは違う!」

「かっこいいアンタでいなさいよ!」



両作品ともに見ていて「ああ、あのシーンね」となる人がどれくらいいるのか分かりませんが……、ひとつのクライマックスの場面においてこれらはともにヒロインの言霊によってプロットの構図の転換がなされるわけですが、僕が亡国のアキトを好きな理由のひとつにラノベがやれていないこと、できていないことをしっかりやっている、というのが理由のひとつで、いつも言っているみんな同じことをやっているということがありつつも、なんというか、作品の世界設定の密度の中で、何をやろうとするのかで、同じことをやってもやっぱり違うということです。

亡国のアキトについては完結してから長めの文章で語ろうと思ってますが、これくらいのさわり程度ならいくら書いてもいいでしょう。

もう少し詳しく言うと、レイラ・マルカルちゃんは戦わせないためにそのセリフを言うので、一方ステラ・ヴァーミリオンちゃんは奮起させるために(まあただの試合の応援なんだけどもw)そのセリフを言うわけです。ロボットアニメで戦争映画に接近しつつも、ヒロインが主人公機にお姫様抱っこされて悪役から逃げることで「ここは感動的である」というようなムードを提示するフィルムになっていて、初見のときは僕もけっこうな衝撃を受けたのですが、作り手のインタビュウなどでは時折、死への欲望、闘争への欲望からキャラクターたちを救い出したいというような姿勢が伺えるので、ふんふんなるほどと思えるんだけど、たとえばこのような戦わない態度をある種の好戦的な作品の流行の中に置いておくと……。